「あなたたちは、何から何を守るつもりなのか?」
 「これはロックアウトだ」
という問いかけに対して返ってきた答えに、皆さんはどう思われるのでしょう?

 ある先生は、言葉もなく下を見ておられました。ためらいがあったのでしょう。

 しかし別の教師はこんなことを言いだしたのです。
 「お前たちを仲間だと思ったことはない。それはここがエリート高校だからだ」「お前たちは今は民主主義とか革命とかほざいているかもしれんが、数年もたってみろ」「官僚になったり、資本主義の手先になったりするんだよ」「お前たちには未来が見えないかもしれない。だが俺には見える」「そうやって、今度は俺たちを見下げて顎でこき使って、あざ笑うような人間になるのさ」

 こうした昨日までとは打って変わった言葉に、生徒たちは「本音」を感じざるを得ませんでした。そこで生まれたのが、当然のことながら不信感です。彼の頭にある学校とは、不良以上に不実な生徒を不本意ながら育て上げるという任務を背負った学校でしかありません。しかし、それを彼は守ろうとしているのです。

 何十年もたって、その彼は「生徒のために」と書いておられます。それは年月がもたらした反省なのでしょうか? それとも虚飾なのでしょうか?