生徒と教師が鉄格子を隔てて話し合う光景は、まともな情景ではありません。それは刑務所とか鑑別所での面会場面を思い出させます。対立する国同士の国境や動物園を思い浮かべることも出来るでしょう。もっとも動物園では話し合いはありませんが。

 そんな光景が1969年10月には高校の正門で繰り広げられていたのです。
 裏門や通用口も見事に固められていました。格子の中に居るのが先生たち。生徒は道路から中に入れてもらえません。

 「塀を乗り越えるか」という声もありましたが、それは機動隊の導入を招くだけです。中にいる教師たちの発想は「県教委や校長の判断での警察導入は許さない」ので、それが行われる前に「主体的に機動隊を導入しよう」というものだったのですから。
 生徒たちにとってはそんなことはどうでも良いことです。誰が呼ぼうが警察は警察に過ぎません。
 「先生たちは俺たちを敵だと思っているのだ」と誰かが言いました。「彼らにとっての学校って何なのだ?」「奴らは自分のことしか考えていない」と、道路上に放置された生徒たちは気付いていきました。そこで発せられたのが、あの問いです。

 「あなたたちは、何から何を守るつもりなのか?」
 「歴史的にいって、これはロックアウトとしか言いようがないだろう」
 「生徒を立ち入り禁止にして、排除することが正常化なのか?」

 こうした疑問に対して、頑なな回答が鉄格子の向こうから返ってきました。