もういい。もう予備機には頼らない。研究費からであろうと私費からであろうと、まともなPCを買ってやるぞとという決意をしたものの、それをくじいたのがノートPCの存在だった。教務課にはそれがあるというのだ。

 教務課に走る。事情を説明すると気持ちよくノートPCを出してくれる。
 貸し出しノートに要件を記入していると「来週から非常勤講師が授業で使いますので、貸し出しは今週いっぱいにしてください」とのこと。
 「明日までですか?」
 「そうですね、今日が木曜日で明日が金曜日ですから」
 第5号機はまともに動いたものの、僕にとっては2日間の命だった。

 ノートPCを肩にかけながら総務課に向かう。
 「ありがとうございました。ノートを借りました」というと、関係者がみな明るい顔をしてくれる。問題解決で、もう僕の苦情から解放されると思ったのだろう。
 その思いを僕は淡々と冷酷に打ち破る。
 「でも明日には返さなくてはならないので、それからの僕はどうしたら良いのでしょう? 問題は全然解決していませんよ。メールは見えないし、ファイルは受け取れないし、高校へ行くための手順や資料も取り出せない」
 「予算はないし、買うとなったら個人研究費から買うことになりますからね」
 ここで僕の気持ちは固まったので、それを伝えたね。
 「個人研究費だろうが私費だろうが、とにかくPCがなくては仕事にならないので、購入します」
 「じゃあ、見積もりと請求書を提出してください」
 「書式はどうしたら良いのですか?」
 「ドライブにありますので、そちらに記入してください」
 「ですから、ドライブにアクセスできないのですから、と言っているのですが」
 「そうですね。申請書だけでも良いですよ」
 「申請書はどこ?」
 「Lドライブに」・・・・申請書などというまどろっこしいことは迂回して、個人でPCを買うことにした