翌朝、朗報が入った。情報センターからだ。
 「使えるPCがもう一台、総務課にあります」とのこと。
 第4号機の登場だ。
 ここまでくると冗談では済まされなくなってくる。気が長いと評判?の僕の表情は、いくらか固くなっていたのかもしれない。
 総務課に入ると同時に関係課長が注目してくれて、慰めるような、戦列復帰を願うような声をかけてくれた。そしてすぐに話題の第4号機が運ばれて来た。

 ところで僕は、以前にiPadの接続許可を貰っておいて良かったなと、自分の先見の明に感心する。
 それは学内Wifiへの接続許可という価値のないものでしかなく、学内LANへの接続は不可能なものだった。とはいえ、OWAへのアクセスができればメールの送受信は可能なのだ。

 メールによって「・・・○○となりました・・・」とか「・・・添付ファイルをご覧ください・・・」という情報は把握できる。
 しかし、「・・・×ドライブをご覧ください・・・」、「・・・ドライブにアップしておきました・・・」と言われても、アクセスできないのだから仕方がない。

 さらに、「・・・YドライブのZファイルに記入してください。締切〇日厳守・・・」などというメールにはお手上げだ。手が出なければ足を使うしかない。発信元の先生の所をリアルに駆け回って、返事をリアルに報告し、打ち込みをお願いする。
 「先生からのメールの件ですが、私からの報告は・・・」と言いかけると、「わざわざ済みません。でも、メールで送っていただければコピペしますので・・・」とか「先生、エクセルに書きこんでいただければ良かったのですが・・・」と言われる。
 要するに、メールでの返事なり、フィルへの書き込みが求められているのであって、リアルな返信はかえって迷惑なのだ。
 そこで第3号機までの顛末を話す。
 相手にとっては「PCが使えない」というだけの話で、要するに言い訳としか聞こえないだろう。それでも、幾ばくかの同情を引き出すことができれば、ファイルに記入する手数をいくらかでも分担してやろうという気持ちになってもらえるかもしれないというものだ。

 で、4号機。
 これも、ご期待通り、立ち上がることもなくベンチに引き返してしまったのだった。情報センターと総務課とは、連携がとれているのだろうか?

 「他に予備機はありますか?」と尋ねる。第5号機、第6号機はあるかと問いかけたのだ。
 「ありません」という明快な答え。

 4号機は思い出深い仲間となった。
 4号機を運んだ時、両腕で抱いていたようだ。
 彼の不調が決定的になったころ、両腕に斜めのスジが痒みとともに生じ、数分でスジの幅が2センチほどに広がった。
 痒い。
 二の腕の中側。肘の上から小指の付け根にかけて赤い筋が浮かび上がり、しかも猛烈に痒くなった。第4号機の隙間とピッタリ符合する。隙間にダニが生息していて、それが僕の腕に飛び移っていたずらを始めたに違いない。PC第4号機は、PCとしての役目を終え、ダニの巣になっていたのだった。

 こうなったら、個人で買おう。それが僕の決心だった。