総務課で出してくれた第2号機君は、結局使い物にならなかった。

 なにをどうしたかは思い切って省いてしまおう。
 彼の経歴を語るだけで十分だからだ。
 実は彼は退役者だったのだ。

 第1号機の顛末を同僚に語ると、Hさんがまるで同じストーリーを語り始めた。
 転勤でこの職場に来た時に彼の研究室にあったPCのスイッチを入れると、立ち上がりに恐ろしく長い時間を必要としたとのこと。そして、何かをするたびに数分から数十分、場合によっては数時間もかかるので、彼はその機械を総務課に持参し、予備機に代えてもらったとのこと。
 以来順調に仕事をしているという物語だった。
 彼は「やっぱりお仕着せの機械は始めにきちんと点検してから使い始めないと恐ろしくて仕方がない」という教訓を与えてくれた。

 教訓はよい。それは僕自身が身に染みて分かった事なのだから。
 僕には有りがたい教訓よりも、生臭い事実に興味をもった。

 「で、そのPCは以前に誰が使っていたのですか?」
 答えを待つ者は真実が明かされるのを前にして、心が波打つものだ。しかも答えを予感する者は、予感が外れることを期待しながら、予感が当たってしまうのではないかと恐れている。

 「たしか僕の研究室を前に使っていたのは、W先生とかいう方だったようですよ。PCの管理票にもそう書いてありました」
 ビンゴ!
 今の自分の研究室にあるPCの管理票にはW研究室とは記入されていない。
 K研究室と書いてある。
 しかしビンゴなのだ。
 何故なら、「W研究室」と書かれた紙をはがして「K研究室」と書いた紙を貼ったのが他ならぬ僕だったのだ。

 こうして第2号機を返しに行くと、これなら提案されたのが第3号機だったというわけだ