「自己客観視評価法」あるいは、複数が参加する「相互客観視評価法」について考えている。

 ところが、職場のPCの調子が全くどうしようもないほどNGなのだ。
 DELL君の調子が悪いため代替機として古いiBookを使っているのだが、遅いうえ画面が小さくて誠に能率が悪い。個人研究費から新しいPCを購入しようか、それとももう少し手を入れてみようかと悩んでいる。
 とにかくPCがなくては、メールも開けず、スケジュールや大学本部、他の先生からのお知らせもしりようがない。
 困ったものだ。

 メールで報告が来た。
 このメールはLineである。若者たちはLineが大好きだ。スマートフォンで手軽に利用できるのだから当然といえば当然だろう。PCのメールより手軽だし、グループ化も可能な上、音声通話もできるのだ。しかも無料で。

 第一回のゼミに際して、張り切ってゼミの意義など話そうかと思っていたら、目の前でスマホを使い始めた学生がいた。「なんて失礼な奴だ」と思い注意しようとすると、彼は「ゼミの連絡網を作っているのだから、誤解しないでください」といった。
 「先生はLINEを登録していますか?」。「していません」。「じゃあしてください」といわれて格闘していると、若者たちはすでにグループを作り終え、当方の登録を待っていてくれた。
 「登録完了!」というのとほぼ同時にゼミのグループが完成したとのこと。
 「先生、グループに送信してください」と促されて、私がゼミ担当ですと打つと、「お願いします」とか「了解」とかといった返信があっという間に送られてきた。
 「了解は目上の者に対して失礼である」と”指導”するのが精いっぱい。
 後で考えると指導を受けたのは彼らではなく自分であって、連絡網を作るという課題について、秒速の速さで解決したのが彼らであった。

 自分が連絡網を作るとしたらと考えてみる。
 やはり紙ベースになるのだろうなと思う。氏名と携帯番号、メールアドレスを書いてもらってエクセルで表に起こすくらいの事だろう。それをプリントアウトして、次の週に配ることができれば早い方である。
 それに比べて若者の早いこと。
 問題解決能力はツールの機能を知って、しかもそれを使いこなす力だと思わされた。エクセルで連絡網を作ること自体が陳腐化しているといえるだろう。

 しかし彼らが持っていなくて、しかし必要なスキルは返事を打つという作業である。
 Lineの場合、既読というサインと数字が出るので何人が読んだのかということはリアルタイムに分かるようになっている。
 早いよ。
 現場実習中に激励のメッセージを送ったが、ほぼリアルタイムで既読マークがつく。あっという間に8人全員が読んでいる。しかし返事はほとんど来ない。二週間と二週間の計四週間の二十日、毎日送信したが既読サインはすぐに来たものの、返事は一通だけだった。

 それが今回、「レポートを出してきました」という報告が来たのだ。
 やっと人間らしい会話が成立しそうだ。と、思える。

 「報告を送ったら、先生が喜んでいたと、日記に書こう。先生に褒められたと書いておきなさい」
 これって、 「自己客観視評価法」の実践第一号とはいえないか?